水産試験場では「水産資源の回復と持続的利用(資源回復)」、「効率的生産による漁業経営の安定(コスト削減)」及び「消費者に信頼される水産物の供給(魚価向上)」をキーワードに,平成26年度は35の研究課題に取り組んでいます。それらの研究課題の中で、新規・重点研究課題の一部について以下にご紹介します。
(1)起業につながる現場対応型藻類養殖技術の開発(H26〜30、経営流通部、増養殖部)
本県は外洋に面していることから荒天で出漁できないことも多く、加えて資源減少の影響で沿岸漁業経営は厳しい状況が続いています。一方、藻類養殖は短期間で少ない労力で低コストに取組むことが可能であることから、副業としての価値が見込まれています。そこで、有用海藻の種苗生産技術開発に取組むとともに、それぞれの現場で対象種ごとに漁業者の皆様や普及指導員と連携しながら、起業につなげるための技術開発に取組んでいくこととしています。
各現場毎の問題解決や技術普及、フォローアップが適切に行われることにより、藻類養殖による新たな特産物を生み出すことができて地域活性化につなげることができるよう取組みを進めてまいります。
(2)マダイとヒラメの放流効果向上のための研究(H26〜28年度、資源部)
県内のマダイやヒラメの漁獲量は平成8年に過去最高を記録したものの減少に転じ、放流効果の低迷が見られます。天然魚を含む資源量も減少傾向にあることから、これらの原因究明が急務となっています。そこで、以前よりも精度の高い生物情報(成長や栄養状態、成熟等)より得られる知見から、放流効果や資源量の低迷原因を推定し必要な対策の検討を行います。
マダイやヒラメは重要な資源であることから、早期に放流効果の低迷原因が解明され、これを踏まえた対策により効率的な栽培漁業の実践が可能となるよう取組んでまいります。
|