皆様あけましてお目出とうございます。
漁船保険に関しましては過ぎ去りました1年を顧りみますと昨年も色々なことがありました。
まず、本組合は昭和13年3月23日以来平成28年3月末をもって組合創立78周年を迎えることができました。
その間、幾多の困難を克服して今日の状態にまで成長してきましたことは、これも偏に組合員各位をはじめ関係者のご指導、ご協力の賜物と感謝申し上げているところでございます。
しかしながら、我が国の漁業を取り巻く環境は厳しく、これを受け漁船保険業界も漁船隻数の減少や付保漁船の高船齢化など厳しい状況に置かれています。
このような中、漁船保険の運営を安定させ、将来に向け安定した保険サービスを提供する為、平成29年4月1日には全国45の漁船保険組合と漁船保険中央会が統合した日本漁船保険組合が誕生する事になりました。組織統合する為には法改正が必要であり、昨年5月18日に漁船損害等補償法の改正法が公布され新組織設立のための法的環境も整いましたので、12月2日には臨時総代会を開催し新設合併の決議等を行いました。この後は平成29年1月31日に東京にて設立委員会が開催され新設合併の為の定款等作成して、同年3月上旬に農林水産大臣宛に合併の認可申請などを行い、4月1日に新組合が設立されることとなりました。
設立方式は全保険組合が新設合併し新組合を設立しその組合が中央会の権利義務を引き継ぐものであります。
宮崎県漁船保険組合は3月末で解散し日本漁船保険組合宮崎県支所となり、職員全員が支所の職員に、現在の宮崎の役員11名は運営委員(専務は支所長)となり、全総代24名は3月31日付で退任され、新組合では全国で一つの総代会(定員119名)が東京で開かれ宮崎には3名の総代が割当てられました。
業務については宮崎県支所では保険の引受・支払を中心に行う事となりますが、今まで通り漁協事務費交付金の支払、整備点検、衝突防止用赤色旗、潮汐表等の配布を行い、3年間無事故船に対する無事戻しも支所分と合わせ全国共通部分を新たに追加するなど、今と変わらない保険サービスを提供することに致しております。
このような中、平成28年度に於いては、漁船事故防止と保険金の早期支払いを最重点施策として業務を推進いたしました。
また、漁船の高船齢化(引受隻数の85%、1,824隻が船齢20年以上)が進んでおり、事故防止事業として、漁船機関並びに電気設備整備点検事業を実施すると共に、衝突事故防止を図る目的で船舶自動識別装置(AIS)を設置した漁船111隻に対し890万円の保険料助成を行い、昨年度からは救命胴衣着用の推進の為、救命胴衣購入者に購入額の半額(1着3,000円限度、5t未満2着、5t以上3着)助成しました。
さらに3年間無事故継続加入漁船に対して無事戻金351隻、975万円を交付し更なる無事故奨励を進めてまいりました。
この結果平成28年度の引受実績は2,070隻、219億円と前年実績に比べ隻数に於いて94隻(△4.34%)減少しましたが、新船建造等もあり、引受金額に於いては3億4,600万円(1.6%)増加いたしております。
一方漁船事故は台風16号(9/20)が本県南部を通過しましたが、その被害は小型船を中心に約50隻、1,100万円程度でありました。
しかしながら、依然といたしまして自動操舵装置などの航海計器類に頼り過ぎ見張りを怠り衝突、座礁する運航上の不注意による事故の他、高船齢化に伴う火災事故等乗組員の人命にも拘りかねない危険な事故も発生しています。
これ等の事故を含め平成28年度の漁船保険金の支払は560件、2億3,000万円に達するものと思われます。よって、今後共この種事故の再発防止と操業の安全につきまして指導してまいりたいと存じます。
以上、平成28年度の業務執行の状況につきまして、申し述べましたが、次に新年度に実施いたします主なる事項につきまして簡単にご説明申し上げます。
前述の通り宮崎県漁船保険組合は創立78周年を区切りとして日本漁船保険組合宮崎県支所に引き継がれることとなりました。よって新年度、新組合になりましても、前年同様「稼働動力漁船の全船加入と漁船事故防止の徹底した対策、乗船中の救命胴衣の着用の励行と保険金の早期支払い」を最重点施策といたしまして業務の推進に努め、漁船事故による損害の復旧と船主等の諸種の負担を軽減して漁業経営の安定に資するという本組合の使命達成のため全力を尽す所存でございますので、何卒皆様方のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
年頭にあたりまして、皆様のご健康と操業の安全並びに豊漁をお祈り申し上げご挨拶といたします。 |