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図1
竿釣り(かつお一本釣り)漁業のビンナガ資源来遊動向については、予測手法は確立されていませんが、国立研究開発法人水産研究・教育機構 国際水産資源研究所により、来遊資源の豊度に関する情報が提供されています。今般、平成28年度竿釣りビンナガ来遊資源に係る情報がとりまとめられましたので報告します。
情報としては、同じビンナガ資源を漁獲する「冬期のまぐろはえ縄漁業による漁獲情報」と「前年漁期の竿釣りの漁獲情報」があり、いずれも、今期の夏期のかつお一本釣漁業の漁況判断の重要な参考情報となります。
1 冬季のまぐろはえ縄漁業による漁獲情報
冬季(平成28年1〜3月)のまぐろはえ縄による漁獲情報では、図1に示した海域で漁獲されたビンナガのCPUE(単位努力量あたり漁獲量:針数100本あたりの漁獲尾数)をビンナガ来遊量の豊度の指標としています
表1は、ビンナガの年齢別CPUEの、過去との比較です。図1 特定海域:30°N〜33°N、133°E〜140°E 平成28年におけるはえ縄の全年齢込みの全体のCPUEは2.61で、前年(6.29)の約41%、過去5年平均(4.64)と比較しても約56%と低い水準にあります。
また3歳魚(今夏のかつお一本釣では4歳魚に相当)のCPUEは0.62と、前年(5.31)の約12%、過去5年平均(3.40)と比較しても約18%と、共に大幅に下回る低い水準となっています。
一方、4歳魚(かつお一本釣の5歳魚に相当)のCPUEは1.58で、前年(0.93)を上回り、過去5年平均(0.97)よりも高い水準にあります。
2 前年漁期の竿釣りの漁獲情報
前年漁期の竿釣りの漁獲情報では、2歳魚(今期の3歳魚)のCPUEをビンナガ来遊資源の豊度の指標としています。前年の2歳魚のCPUEは0.17(千尾/有漁日・隻)で、平成26年の0.01よりは回復しているものの、過去5年平均(1.01)と比較すると大幅に低い水準となっています。
以上が提供情報の内容ですが、これらを勘案すると、今期の竿釣りビンナガ漁は、5歳魚が主体となると予想されます。 |
表1 平成28年の竿釣りビンナガ来遊資源動向に関する指標
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年齢 |
CPUE |
竿釣り2016年漁期での年齢 |
H26(2014) |
H27(2015) |
H28(2016) |
過去5年平均 |
竿釣り |
2歳 |
0.01 |
0.17 |
− |
1.01 |
3歳(5〜6kg) |
はえ縄 |
全年齢込み |
3.56 |
6.29 |
2.61 |
4.64 |
4〜6歳(7kg以上) |
3歳 |
2.76 |
5.31 |
0.62 |
3.40 |
4歳(7〜11kg) |
4歳 |
0.66 |
0.93 |
1.58 |
0.97 |
5歳(12〜15kg) |
5歳以上 |
0.15 |
0.05 |
0.42 |
0.28 |
6歳(15kg以上) |
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竿釣り2歳魚のCPUEは大型竿釣り船のみから計算した値である。ビンナガの誕生月を5月とした。
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